不倫慰謝料の金額が低額になるケース
1 不倫慰謝料が低額になる要素を含むケース
実務においては、不倫慰謝料には、裁判例の積み重ね等に基づく相場が存在します。
一般的な不倫慰謝料の相場は、数十万円~300万円程度とされています。
不倫慰謝料の金額を変動させる要素がいくつも存在することから、ケースによって大きく金額が変わります。
不倫慰謝料の金額を下げてしまう要素もあります。
代表的なものは、次のとおりです。
①不倫期間が短い・不貞行為の回数が少ない
②婚姻している期間が短い
③不倫とは別の理由で夫婦関係が悪化していた
以下、それぞれについて説明します。
2 不倫期間が短い・不貞行為の回数が少ない
不倫慰謝料は、不倫をした側の不貞行為により、不倫をされた配偶者が有する平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生します。
不倫期間が短い場合、一般的には、権利を侵害する行為である不貞行為の回数も少なくなると考えられます。
その結果、損害は小さくなり、不貞慰謝料も低額になる可能性があります。
不倫期間が短くなくても、不貞行為の回数が少ない場合には、同じことがいえます。
また、不貞行為の回数が少ない場合、不倫慰謝料の請求が困難になるという実務上の問題もあります。
不貞行為の回数が少ない場合、不貞行為の証拠を取得できる機会が得られないことや、不倫相手の身元を特定できないことがあるためです。
3 婚姻している期間が短い
不倫をされた配偶者が有する平穏な夫婦生活を送る権利は、長年の積み重ねによって形成されていくものであると考えられています。
婚姻していた期間が短い場合、この権利はあまり大きくなく、不貞行為による権利侵害の程度も小さくなるといえるため、不貞慰謝料の金額が下がる傾向にあります。