外国籍の後遺障害逸失利益
1 後遺障害逸失利益とは
後遺障害逸失利益とは、被害者の身体に後遺障害が残り、労働能力が減少するために、将来発生するものと認められる収入の減少のことをいいます。
後遺障害逸失利益は、後遺障害逸失利益は症状固定当時に残存した症状によって被害者の収入に与える影響を賠償の対象と捉えるものです。
2 被害者が外国籍の場合の問題点
交通事故が日本国内で発生した場合であれば、被害者が外国籍の人であっても、法の適用に関する通則法により、日本国法の不法行為に関する法令が適用されますので、適用される法令は被害者が日本人の場合と同じです。
しかし、外国籍の人が被害者の場合、将来も日本国内で就労をしているとは言い切れない場合も珍しくありません。
にもかかわらず、交通事故発生当時の日本国内における就労状況を前提に、後遺障害逸失利益を算出してよいのかという問題点が発生します。
3 被害者が永住資格を有する者の場合
被害者が、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などいわゆる永住資格を有している者である場合、日本国籍の被害者と同じように逸失利益を算定できます。
4 就労可能な在留資格によって日本で就労していた者の場合
日本での現実収入の金額に基づいて後遺障害逸失利益が計算されます。
在留期間について制限がある場合でも、その更新を受けることができる蓋然性が証明されれば、更新後の期間についても日本での現実収入の金額に基づいて後遺障害逸失利益を計算できます。
他方で、更新を受けることができる蓋然性を証明できない場合、在留期間の後については、想定される出国先(母国など)での収入資料に基づき、後遺障害逸失利益が計算されます。
5 観光等の短期滞在の在留資格の場合
この場合には、母国での収入等の金額に基づいて、後遺障害逸失利益が計算されます。
6 不法就労者の場合
既に発生している日本での就労期間については日本での現実収入の金額を採用するものの、その後は母国での収入等の金額に基づいて後遺障害逸失利益が計算されます。
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