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夫婦で交通事故に遭った場合の自賠責保険に関するQ&A

  • 文責:所長 弁護士 長谷川睦
  • 最終更新日:2021年5月13日

夫が運転する車に同乗する妻は過失ある夫の自賠責保険を使うことができるか?

1 問題となる事案

交通事故の相談を受けているときに、同乗する妻の後遺障害について夫の自賠責保険を使えるかという問い合わせを受けることがあります。

例えば、夫が運転する車に妻が同乗している場合において、夫の過失で事故が発生して妻が受傷したときには、妻は夫の自賠責保険に対して後遺障害などの保険金請求ができるか、という問題があります。

これは、自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条の「他人」性の要件の問題と言い換えることができます。

2 自賠法3条「他人」の要件

自賠法第3条本文は、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる」と規定しています。

運行供用者に保険金請求が可能な「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者及び当該自動車の運転者・運転補助者を除く、それ以外の者をいうとされています(最判昭和42年9月29日判例時報497号41頁)。

3 同乗する妻は「他人」にあたるか

運転していた夫との関係で、同乗する妻が「他人」といえるのであれば、妻は夫の自賠責保険に対して保険金の請求ができます。

しかし、同乗する妻と運転者である夫との人的関係や経済的一体性から、妻は「他人」にあたらず、夫の自賠責保険に保険金の請求をすることができないのではないかという議論が出てきます。

最高裁判例では、妻であるという事情のみから「他人」性を否定するべきではないと判断しており、個別具体的な事情に基づいて判断すべきとしています。

すなわち、最判昭和47年5月30日民集26巻4号898頁によれば、「他人」の判断は、当該自動車の通勤等への使用形態、所有者名義、ガソリン代・修理代等の維持費、普段の当該自動車の使用者、被害者の当該自動車の使用及び同乗の頻度、運転免許取得の有無、事故当時の運転補助行為の事実の有無等具体的な事実関係の下で判断するべきとされており、妻という事実のみで判断することは適切ではないとされているようです。

参考リンク:最高裁判所判例集

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