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事故車両を修理しない・買い替えない場合でも車両損害を請求できますか?

  • 文責:所長 弁護士 長谷川睦
  • 最終更新日:2021年3月17日

1 車両損害額について

交通事故で車両が損傷した場合、加害者に対して、車両損害の賠償請求ができます。

車両損害額は、車両が物理的に修理不可能な場合には、事故当時の車両の時価額が車両損害額となります。

物理的に修理が可能な場合の車両損害額は、原則として、事故当時の車両の時価額と修理代金相当額のどちらか低い金額が車両損害額となります。

2 時価額が修理代金相当額を下回る場合には修理に自己負担が生じえます

一般的に、車両の時価額が修理代金相当額を下回る場合、車両損害額は時価額となりますので、車両を修理する場合の修理代金のうち時価額を超過する金額については、自己負担となる可能性があります。

3 車を修理しない場合の車両損害額の賠償の可否

時価額が修理代金相当額を下回る場合に、事故被害者の中には、修理をせずに修理代金相当額を受け取り、買替費用に充当したいと考える方もいらっしゃいます。

このような対応方法は可能でしょうか?

結論として、事故被害者は、その車両の所有者ではない場合には別として、車両の損傷がある場合には、当該車両を修理しないであるいは車両を買い替えないで、車両損害額を賠償請求することができます。

交通事故実務では、所有する車両が損傷したという事実それ自体が損害であると考えられるため、修理や買い替えの事実が車両損害の賠償請求の要件とならないと考えられるからです(赤い本下巻2019年版・17頁参照)。

4 修理費用の消費税相当額の賠償の可否

修理代金が時価額を下回る場合には、修理代金が車両損害額となります。

これに関連して、現実に修理をしなかった場合に、修理代金の消費税相当額が賠償の対象になるのかという問題があります。

現実に修理をしなかった場合には、修理業者に消費税を支払う必要がありませんので、消費税相当額は賠償額から減額されるのではないかという議論があるからです。

この点については、原則として、修理をしなくても、修理代金相当額に伴う消費税相当額を請求することができると考えられています(赤い本下巻2019年版・18頁参照)。

5 リース車両・ローン利用の場合には要注意

以上の議論は、主に、事故被害者が車両の所有者である場合を念頭に議論されてきました。

しかし、近年、リース車両の利用、ローン払いを利用して売主やローン会社に車両の所有権が留保されたまま買主が車両を利用する場合など、車両所有者以外の者が当事者になる事案が増えてきています。

このような場合には、以上の議論が必ずしも当てはまらない場合も少なくないにもかかわらず、この点を意識しないまま事件を処理する保険会社や弁護士もいるようです。

このような事態を避けるためにも、車両損害については、交通事故に詳しい弁護士に相談する必要がありますので、ご注意ください。

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