相続手続きの期限
1 相続手続きの期限には注意が必要
相続手続きには、期限があるものが存在します。
万が一、期限に間に合わなかった場合、被相続人の借金を背負うことになったり、延滞税などのペナルティを課せられたりする場合があります。
そこで、相続手続きの中で、期限があるもののうち、代表的なもの4つをご紹介します。
2 相続放棄と限定承認
相続放棄と限定承認手続きは、亡くなったことを知ってから、「3か月以内」に行う必要があります。
この「3か月」の期間を過ぎてしまうと、特別の事情がない限りは、相続放棄や限定承認ができなくなってしまいます。
その結果、借金全額を背負ってしまうことになる場合もあるため、特に注意が必要です。
3 準確定申告
準確定申告については、基本的に亡くなったことを知った時から、「4か月以内」に手続きを行う必要があります。
これを過ぎてしまうと、延滞税や加算税などのペナルティを科せられることになります。
準確定申告が必要かどうかについては、基本的に、亡くなった方が生前、確定申告をしていたかどうかで判断します。
特に確定申告をしていない方であれば、準確定申告が不要な場合がほとんどです。
4 相続税申告
相続税の申告については、基本的に、亡くなったことをしった時から「10か月以内」に行う必要があります。
これを過ぎてしまうと、準確定申告と同様、延滞税や加算税などのペナルティを科せられることになります。
また、期限を過ぎてしまうと、相続税を減らす特別の控除を受けられない場合があるため、本来支払う額よりも相続税額が多くなる場合もあります。
そのため、できる限り期限内に手続きを行いましょう。
5 遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求の期限については、亡くなったことと、遺言書の内容や、生前贈与を確認したときから、「1年以内」に行う必要があります。
たとえば、亡くなったことは当日知ったが、遺言書の内容を確認したのはそれから1か月後の場合、遺言書を確認した時から「1年以内」となります。
また、遺留分侵害額請求は、亡くなったときから「10年」が経ってしまうと請求することができなくなるため、注意しましょう。
具体的な請求方法としては、書面で相続人又は受遺者に対して行いう場合が多いです。
6 不動産の相続登記
令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由なく相続登記の申請を行わないと、過料の対象となるため、注意が必要です。
令和6年4月1日以前に相続した不動産についても、令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。
遺産分割がまとまらない等の理由で期限内に相続登記ができない場合には、いったん法定相続割合で登記をする、法務局に相続人であることを申し出て登記の期限を延長してもらう制度を利用するといった方法もあります。
7 寄与分や特別受益の主張
相続開始から10年が経過してしまうと、原則として遺産分割における寄与分や特別受益の主張ができなくなってしまいます。
そのため、こうした主張がある場合にも、期限内の対応が必要となります。